空き家を放置すると固定資産税は6倍になるのか|勧告の仕組み

掲載データの確認日 2026/10/28

47都道府県を同じ条件でそろえています

「空き家は税が6倍」と言われますが、上がるのは勧告を受けた場合です。どういう順番で勧告に至るのか、どこで止められるのかをまとめました。

放っておくと固定資産税が上がることがある

住んでいる家が建っている土地には、固定資産税を軽くする住宅用地の特例があります。空き家でも家が建っていれば原則は同じです。ただし、空家等対策の推進に関する特別措置法で勧告を受けると、この特例から外されます。

区分 何を指すか 税の扱い
ふつうの空き家 管理されている 住宅用地の特例が残る
管理不全空家等 そのままにすると特定空家になるおそれがある 勧告を受けると特例から外れる
特定空家等 倒壊のおそれ、衛生上有害、景観を損なうなど 勧告を受けると特例から外れる

順番が決まっている

  1. 市区町村が調べて、助言・指導をする
  2. 直らなければ勧告。ここで住宅用地の特例から外れる
  3. さらに直らなければ命令。従わないと過料
  4. それでも直らなければ行政代執行。かかった費用は所有者に請求される

助言・指導の段階で動けば、税の扱いは変わりません。通知が来たら放置しないでください。

放置すると、責任は所有者にかかる

民法717条で、土地の工作物(建物や塀)の設置や保存に欠陥があって他人に損害が出たとき、所有者は損害を賠償する責任を負うと決められています。占有者が注意を尽くしていた場合、所有者は過失が無くても責任を負います。

起きること 先にしておくこと
瓦や外壁が落ちる 年に何度か見に行く。台風のあとは必ず
塀が倒れる ぐらつきを直す。危ないものは先に外す
庭木が越境する 枝を切る。隣に断ってから
雑草・害虫 草刈りを頼む。近所への連絡先を伝えておく
不法投棄・侵入 施錠する。郵便受けをふさぐ

遠くて見に行けないとき

自治体のシルバー人材センター、管理を請け負う会社、近所の人への依頼など、見に行ける人を決めておくことが要ります。誰も見ていない状態が続くと、助言・指導の通知が来ても気づけません。

相続放棄しても、すぐには手を離れない

民法940条で、相続放棄をした人でも放棄のときに現に占有していた財産は、相続人や相続財産清算人に引き渡すまで保存しなければならないと決められています。「放棄したから何もしなくてよい」とは限りません。

持ち続けるとかかるもの

かかるもの 中身
固定資産税・都市計画税 毎年かかる。勧告を受けると住宅用地の特例から外れる
火災保険 空き家は住宅用の契約が続けられないことがある。保険会社に申し出る
水道・電気 止めるか、見回りのために残すかを決める
管理の費用 草刈り・見回り・雪下ろし
修繕 雨漏り・屋根・外壁。放っておくほど高くなる

火災保険は必ず申し出る

住む人がいなくなると、建物の使い方が変わったものとして扱われます。申し出ないと、いざというときに支払われないことがあります。空き家になった時点で保険会社に連絡してください。

売る・貸す・使う・壊す

道 向いている場合 先に確かめること
売る 使う予定がなく、持ち続ける負担が重い 名義・境界・相続人の同意
貸す 建物が使え、管理を任せられる 修繕の費用と貸主の責任
自分で使う 移住や二拠点を考えている 改修の費用と支援制度
壊して土地を売る 建物が傷んでいて使えない 解体費と、更地にしたあとの税
自治体に相談する どれも決められない 空き家バンクと相談窓口

決められないときの順番

  1. 名義を確かめる(相続登記が済んでいるか)
  2. 相続人の間で方針をそろえる
  3. 建物が使える状態か見てもらう
  4. 売る・貸すの見通しを不動産会社に聞く
  5. それから、壊すかどうかを決める

壊すのは最後に決めます。壊してしまうと戻せず、土地の税も上がります。

相続した家の名義変更は義務になっている

2024年4月1日から、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請することが義務になりました。正当な理由がないのに申請しないと、10万円以下の過料の対象になります。

この義務は2024年4月1日より前に相続した不動産にもかかります。その場合は、2027年3月31日までが期限です。

場面 すること
遺産分割が済んでいる 相続登記を申請する
遺産分割がまとまらない 相続人申告登記をして、まとまったら3年以内に登記する
相続人が多くて連絡がつかない 司法書士に相談して、戸籍をたどる
そもそも相続するか迷う 相続放棄の期限(3か月)を先に確かめる

名義が古いままだと売れない

登記の名義が祖父母のままだと、そのままでは売ることも貸すこともできません。相続人が増えるほど話がまとまらなくなるので、早いほど手間が少なくて済みます。

進む順番

  1. 登記を取って、名義と相続人を確かめる
  2. 相続登記が済んでいなければ申請する(3年の期限あり)
  3. 建物の状態を見て、使えるかどうかを判断する
  4. 火災保険と水道・電気の扱いを決める
  5. 売る・貸す・使う・壊すの方針を相続人でそろえる
  6. 空き家バンクと自治体の支援制度を確かめる
  7. 不動産会社や解体業者に、同じ条件で見積もりを頼む
  8. 税の特例に当てはまるかを税務署か税理士に確かめる
  9. 契約して、登記と税の手続きを済ませる

よくある質問

空き家にしておくと必ず税が上がりますか

上がるのは勧告を受けた場合です。助言・指導の段階で直せば、住宅用地の特例は残ります。通知が来たら放置しないでください。

相続登記をしないとどうなりますか

正当な理由なく期限内に申請しないと、10万円以下の過料の対象になります。また、名義が古いままだと売ることも貸すこともできません。

空き家バンクに出すとお金はかかりますか

自治体によって違います。登録そのものは無料でも、仲介する不動産会社への手数料は別にかかるのが一般的です。その自治体のページで確かめてください。

解体の補助はありますか

設けている自治体があります。先に申し込まないと対象にならないことが多いので、壊す前に窓口に聞いてください。

遠方に住んでいて管理できません

シルバー人材センターや管理を請け負う会社に頼む方法があります。誰も見ていない状態を続けないことが大事です。

言葉の意味

言葉 意味
特定空家等 倒壊のおそれや衛生上の問題があると市区町村が認めた空き家
管理不全空家等 そのままにすると特定空家等になるおそれがある空き家
住宅用地の特例 住宅が建つ土地の固定資産税を軽くする仕組み。勧告を受けると外れる
行政代執行 命令に従わないとき、市区町村が代わりに行い費用を請求する手続き
相続登記 相続した不動産の名義を変える登記。2024年4月1日から申請が義務
相続人申告登記 遺産分割がまとまらないときに、相続人であることを申し出る登記
空き家バンク 自治体が運営する空き家の情報の窓口
建設リサイクル法 一定規模以上の解体で分別と再資源化を求める法律。届出が要る

次にすること

都道府県から、空き家バンクのある自治体の一覧に進めます。各自治体のページを直接開けるので、登録の条件と支援制度を確かめてください。

物件の数・価格・自治体の評価はこのサイトでは持っていません。条件は必ず自治体のページで確かめてください。

この記事のデータについて

掲載している自治体の数は、空き家バンクのページを公開している自治体を数えたものです。物件の数や価格、自治体の評価は持っていないため、掲載していません。税と手続きの内容は、空家等対策の推進に関する特別措置法、地方税法、不動産登記法、租税特別措置法、民法、大気汚染防止法にもとづいています。実際の取り扱いは自治体で異なることがあるため、窓口でご確認ください。