空き家を売って利益が出ると、譲渡所得として所得税・住民税がかかります。計算のしかたと、親が買ったときの金額が分からない場合の扱いを、順を追って整理しました。
計算のしかた
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| 譲渡価額 | 売った金額 |
| 取得費 | 親(被相続人)が買ったときの金額から、建物の減価償却費を差し引いたもの。相続で取得した場合は被相続人の取得費を引き継ぐ |
| 譲渡費用 | 仲介手数料・測量費・解体費(売るための)など |
| 譲渡所得 | 譲渡価額 −(取得費+譲渡費用)− 特別控除 |
取得費が分からないとき
親が何十年も前に買った家で、売買契約書が見つからないことがあります。その場合は、売った金額の5%を取得費とすることができます(概算取得費)。5%は小さいので、契約書や通帳の記録を探す価値があります。
| 探すもの | どこにあるか |
|---|---|
| 売買契約書 | 実家の書類、権利証と一緒 |
| 建築の請負契約書 | 同上 |
| 通帳の記録 | 古い通帳 |
| 住宅ローンの書類 | 金融機関 |
長期か短期か
所有期間が売った年の1月1日時点で5年を超えると長期譲渡所得、5年以下だと短期譲渡所得で、税率が違います。相続で取得した場合は、親が取得した日から数えます。
使える特例
| 特例 | 主な条件 |
|---|---|
| 被相続人の居住用財産(空き家)の3,000万円特別控除 | 1981年5月31日以前に建った家屋、親が1人で住んでいた、相続から3年目の年末までに売る、など |
| 相続税の取得費加算 | 相続税を納めた人が、相続税の申告期限から3年以内に売る |
確定申告
譲渡所得があったら、売った翌年の確定申告で申告します。特例を使う場合は、利益が出なくても申告が要ることがあります。
計算の表
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 譲渡価額 | |
| 取得費(実額または5%) | |
| 譲渡費用 | |
| 特別控除 | |
| 譲渡所得 |
確認表
| 確かめること | 済 |
|---|---|
| 売買契約書などを探した | □ |
| 親の取得日を確かめた | □ |
| 譲渡費用の領収書をまとめた | □ |
| 使える特例を税務署・税理士に確かめた | □ |
| 翌年の確定申告の時期を控えた | □ |
よくある質問
解体費は譲渡費用になりますか
売るために取り壊した場合の解体費は譲渡費用になるとされています。
損が出たら申告は要りませんか
譲渡所得が出なければ税はかかりませんが、特例を使う場合などは申告が要ることがあります。
相続した家を売るときの3,000万円の特別控除
相続した家を売って利益が出た場合、条件に当てはまれば譲渡所得から最大3,000万円を差し引ける特例があります(租税特別措置法35条3項。「被相続人の居住用財産を売ったときの特例」)。
| 主な条件 | 中身 |
|---|---|
| 建てた時期 | 昭和56年5月31日以前に建築されたこと |
| 建物の種類 | マンションなどの区分所有建物でないこと |
| 住んでいた人 | 相続の開始直前に被相続人が一人で住んでいたこと |
| 売り方 | 耐震基準に適合させて売るか、取り壊して売ること |
| 期限 | 相続の開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで |
| 手続き | 市区町村の被相続人居住用家屋等確認書をそえて確定申告をすること |
当てはまるかは必ず確かめる
条件は細かく、老人ホームに入っていた場合の扱いなど例外もあります。売る前に、税務署か税理士に自分の場合を確かめてください。ここに書いたのは条文の骨組みだけです。
売る・貸す・使う・壊す
| 道 | 向いている場合 | 先に確かめること |
|---|---|---|
| 売る | 使う予定がなく、持ち続ける負担が重い | 名義・境界・相続人の同意 |
| 貸す | 建物が使え、管理を任せられる | 修繕の費用と貸主の責任 |
| 自分で使う | 移住や二拠点を考えている | 改修の費用と支援制度 |
| 壊して土地を売る | 建物が傷んでいて使えない | 解体費と、更地にしたあとの税 |
| 自治体に相談する | どれも決められない | 空き家バンクと相談窓口 |
決められないときの順番
- 名義を確かめる(相続登記が済んでいるか)
- 相続人の間で方針をそろえる
- 建物が使える状態か見てもらう
- 売る・貸すの見通しを不動産会社に聞く
- それから、壊すかどうかを決める
壊すのは最後に決めます。壊してしまうと戻せず、土地の税も上がります。
放っておくと固定資産税が上がることがある
住んでいる家が建っている土地には、固定資産税を軽くする住宅用地の特例があります。空き家でも家が建っていれば原則は同じです。ただし、空家等対策の推進に関する特別措置法で勧告を受けると、この特例から外されます。
| 区分 | 何を指すか | 税の扱い |
|---|---|---|
| ふつうの空き家 | 管理されている | 住宅用地の特例が残る |
| 管理不全空家等 | そのままにすると特定空家になるおそれがある | 勧告を受けると特例から外れる |
| 特定空家等 | 倒壊のおそれ、衛生上有害、景観を損なうなど | 勧告を受けると特例から外れる |
順番が決まっている
- 市区町村が調べて、助言・指導をする
- 直らなければ勧告。ここで住宅用地の特例から外れる
- さらに直らなければ命令。従わないと過料
- それでも直らなければ行政代執行。かかった費用は所有者に請求される
助言・指導の段階で動けば、税の扱いは変わりません。通知が来たら放置しないでください。
相続した家の名義変更は義務になっている
2024年4月1日から、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請することが義務になりました。正当な理由がないのに申請しないと、10万円以下の過料の対象になります。
この義務は2024年4月1日より前に相続した不動産にもかかります。その場合は、2027年3月31日までが期限です。
| 場面 | すること |
|---|---|
| 遺産分割が済んでいる | 相続登記を申請する |
| 遺産分割がまとまらない | 相続人申告登記をして、まとまったら3年以内に登記する |
| 相続人が多くて連絡がつかない | 司法書士に相談して、戸籍をたどる |
| そもそも相続するか迷う | 相続放棄の期限(3か月)を先に確かめる |
名義が古いままだと売れない
登記の名義が祖父母のままだと、そのままでは売ることも貸すこともできません。相続人が増えるほど話がまとまらなくなるので、早いほど手間が少なくて済みます。
持ち続けるとかかるもの
| かかるもの | 中身 |
|---|---|
| 固定資産税・都市計画税 | 毎年かかる。勧告を受けると住宅用地の特例から外れる |
| 火災保険 | 空き家は住宅用の契約が続けられないことがある。保険会社に申し出る |
| 水道・電気 | 止めるか、見回りのために残すかを決める |
| 管理の費用 | 草刈り・見回り・雪下ろし |
| 修繕 | 雨漏り・屋根・外壁。放っておくほど高くなる |
火災保険は必ず申し出る
住む人がいなくなると、建物の使い方が変わったものとして扱われます。申し出ないと、いざというときに支払われないことがあります。空き家になった時点で保険会社に連絡してください。
空き家のある都道府県から空き家バンクを探す
空き家バンクは空き家がある市区町村が運営しています。ページを公開している842の自治体を、都道府県ごとに並べています。
北海道
| 都道府県 | 自治体 | うち市 | うち町村 | 主な市 |
|---|---|---|---|---|
| 北海道 | 35 | 7 | 28 | 札幌市・旭川市・函館市 |
東北
| 都道府県 | 自治体 | うち市 | うち町村 | 主な市 |
|---|---|---|---|---|
| 青森県 | 29 | 10 | 19 | 青森市・八戸市・弘前市 |
| 岩手県 | 22 | 11 | 11 | 盛岡市・一関市・奥州市 |
| 宮城県 | 16 | 7 | 9 | 仙台市・石巻市・大崎市 |
| 秋田県 | 18 | 11 | 7 | 秋田市・横手市・大仙市 |
| 山形県 | 18 | 6 | 12 | 山形市・鶴岡市・酒田市 |
| 福島県 | 37 | 12 | 25 | いわき市・郡山市・福島市 |
関東
| 都道府県 | 自治体 | うち市 | うち町村 | 主な市 |
|---|---|---|---|---|
| 茨城県 | 32 | 27 | 5 | 水戸市・つくば市・日立市 |
| 栃木県 | 23 | 13 | 10 | 宇都宮市・小山市・足利市 |
| 群馬県 | 17 | 9 | 8 | 高崎市・前橋市・太田市 |
| 埼玉県 | 40 | 27 | 13 | さいたま市・川口市・川越市 |
| 千葉県 | 36 | 22 | 14 | 千葉市・船橋市・松戸市 |
| 東京都 | 6 | 5 | 1 | 特別区(23区)・八王子市・町田市 |
| 神奈川県 | 20 | 14 | 6 | 横浜市・川崎市・相模原市 |
中部
| 都道府県 | 自治体 | うち市 | うち町村 | 主な市 |
|---|---|---|---|---|
| 新潟県 | 22 | 18 | 4 | 新潟市・長岡市・上越市 |
| 富山県 | 14 | 10 | 4 | 富山市・高岡市 |
| 石川県 | 6 | 5 | 1 | 金沢市・白山市・小松市 |
| 福井県 | 16 | 8 | 8 | 福井市・坂井市 |
| 山梨県 | 14 | 11 | 3 | 甲府市・甲斐市 |
| 長野県 | 12 | 5 | 7 | 長野市・松本市・上田市 |
| 岐阜県 | 26 | 13 | 13 | 岐阜市・大垣市・各務原市 |
| 静岡県 | 16 | 9 | 7 | 静岡市・浜松市・富士市 |
| 愛知県 | 11 | 9 | 2 | 名古屋市・豊田市・岡崎市 |
近畿
| 都道府県 | 自治体 | うち市 | うち町村 | 主な市 |
|---|---|---|---|---|
| 三重県 | 14 | 8 | 6 | 四日市市・津市・鈴鹿市 |
| 滋賀県 | 16 | 11 | 5 | 大津市・草津市・彦根市 |
| 京都府 | 12 | 8 | 4 | 京都市・宇治市・長岡京市 |
| 大阪府 | 16 | 14 | 2 | 大阪市・堺市・東大阪市 |
| 兵庫県 | 33 | 23 | 10 | 神戸市・姫路市・西宮市 |
| 奈良県 | 18 | 8 | 10 | 奈良市・橿原市・生駒市 |
| 和歌山県 | 14 | 7 | 7 | 和歌山市・田辺市 |
中国
| 都道府県 | 自治体 | うち市 | うち町村 | 主な市 |
|---|---|---|---|---|
| 鳥取県 | 10 | 4 | 6 | 鳥取市・米子市 |
| 島根県 | 7 | 2 | 5 | 松江市・出雲市 |
| 岡山県 | 17 | 8 | 9 | 岡山市・倉敷市・津山市 |
| 広島県 | 9 | 6 | 3 | 広島市・福山市・呉市 |
| 山口県 | 11 | 9 | 2 | 下関市・山口市・周南市 |
四国
| 都道府県 | 自治体 | うち市 | うち町村 | 主な市 |
|---|---|---|---|---|
| 徳島県 | 11 | 5 | 6 | 徳島市・阿南市 |
| 香川県 | 6 | 1 | 5 | 高松市・丸亀市 |
| 愛媛県 | 14 | 11 | 3 | 松山市・今治市・新居浜市 |
| 高知県 | 12 | 6 | 6 | 高知市・南国市 |
九州・沖縄
| 都道府県 | 自治体 | うち市 | うち町村 | 主な市 |
|---|---|---|---|---|
| 福岡県 | 23 | 14 | 9 | 福岡市・北九州市・久留米市 |
| 佐賀県 | 16 | 10 | 6 | 佐賀市・唐津市 |
| 長崎県 | 16 | 10 | 6 | 長崎市・佐世保市 |
| 熊本県 | 15 | 8 | 7 | 熊本市・八代市 |
| 大分県 | 15 | 12 | 3 | 大分市・別府市 |
| 宮崎県 | 17 | 7 | 10 | 宮崎市・都城市 |
| 鹿児島県 | 30 | 17 | 13 | 鹿児島市・霧島市 |
| 沖縄県 | 4 | 3 | 1 | 那覇市・沖縄市・うるま市 |
言葉の意味
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| 特定空家等 | 倒壊のおそれや衛生上の問題があると市区町村が認めた空き家 |
| 管理不全空家等 | そのままにすると特定空家等になるおそれがある空き家 |
| 住宅用地の特例 | 住宅が建つ土地の固定資産税を軽くする仕組み。勧告を受けると外れる |
| 行政代執行 | 命令に従わないとき、市区町村が代わりに行い費用を請求する手続き |
| 相続登記 | 相続した不動産の名義を変える登記。2024年4月1日から申請が義務 |
| 相続人申告登記 | 遺産分割がまとまらないときに、相続人であることを申し出る登記 |
| 空き家バンク | 自治体が運営する空き家の情報の窓口 |
| 建設リサイクル法 | 一定規模以上の解体で分別と再資源化を求める法律。届出が要る |
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- 被相続人居住用家屋等確認書の取り方|空き家の3,000万円控除で市区町村に出す書類
- 相続登記の義務化|空き家の名義を変えないとどうなるか
- 隣の空き家の持ち主が分からないとき|所有者を調べる方法と管理の制度
次にすること
都道府県から、空き家バンクのある自治体の一覧に進めます。各自治体のページを直接開けるので、登録の条件と支援制度を確かめてください。
物件の数・価格・自治体の評価はこのサイトでは持っていません。条件は必ず自治体のページで確かめてください。
この記事のデータについて
掲載している自治体の数は、空き家バンクのページを公開している自治体を数えたものです。物件の数や価格、自治体の評価は持っていないため、掲載していません。税と手続きの内容は、空家等対策の推進に関する特別措置法、地方税法、不動産登記法、租税特別措置法、民法、大気汚染防止法にもとづいています。実際の取り扱いは自治体で異なることがあるため、窓口でご確認ください。