空き家の売り方には、不動産会社に買い手を探してもらう仲介と、不動産会社がそのまま買う買取があります。価格・早さ・手間・責任の違いを表にしました。
違いの表
| 比べるところ | 仲介 | 買取 |
|---|---|---|
| 買う人 | 一般の個人など | 不動産会社 |
| 価格 | 市場で決まる | 仲介より低くなりやすい |
| 早さ | 買い手が見つかるまで | 早い |
| 内覧 | 何度か要る | 少ない |
| 家財・不具合 | 片付けや説明が要る | そのまま引き取ってもらえることがある |
| 仲介手数料 | かかる | かからない(直接の買取の場合) |
| 売ったあとの責任 | 契約の定めによる | 免責にする契約が多い |
向いている場面
| 場面 | 向いている売り方 |
|---|---|
| 時間がかかってもよい、高く売りたい | 仲介 |
| 早く手放したい、遠方で管理できない | 買取 |
| 家財が大量に残っている | 買取(引き取りの条件を確かめる) |
| 建物が傷んでいて不具合の説明が難しい | 買取 |
| 地方で買い手がつきにくい | 仲介と空き家バンクを試してから買取 |
買取を頼むときの確認
- 査定は複数社から取る
- 家財の処分費を差し引いた額か
- 解体費を差し引いた額か
- 契約不適合責任を免除する特約があるか
- 決済の時期
仲介から買取に切り替える
まず仲介で売り出し、一定の期間で売れなければ買取に切り替える「買取保証」を用意する会社もあります。条件を書面で確かめます。
比べる表
| 項目 | 仲介(A社) | 買取(B社) | 買取(C社) |
|---|---|---|---|
| 手取りの見込み | |||
| 売れるまでの見込み | |||
| 家財の扱い | |||
| 解体の要否 | |||
| 売ったあとの責任 |
特例との関係
被相続人の居住用財産(空き家)の3,000万円控除は、家屋を耐震改修するか取り壊してから売るか、売った翌年2月15日までに買主が耐震改修・取り壊しをすることが条件です。買取の会社が取り壊すかどうかで使えるかが変わるので、確かめておきます。
よくある質問
買取は安く買いたたかれませんか
複数社から査定を取り、仲介の場合の見込みと比べてから決めます。
買取でも確定申告は要りますか
利益が出れば要ります。
売る・貸す・使う・壊す
| 道 | 向いている場合 | 先に確かめること |
|---|---|---|
| 売る | 使う予定がなく、持ち続ける負担が重い | 名義・境界・相続人の同意 |
| 貸す | 建物が使え、管理を任せられる | 修繕の費用と貸主の責任 |
| 自分で使う | 移住や二拠点を考えている | 改修の費用と支援制度 |
| 壊して土地を売る | 建物が傷んでいて使えない | 解体費と、更地にしたあとの税 |
| 自治体に相談する | どれも決められない | 空き家バンクと相談窓口 |
決められないときの順番
- 名義を確かめる(相続登記が済んでいるか)
- 相続人の間で方針をそろえる
- 建物が使える状態か見てもらう
- 売る・貸すの見通しを不動産会社に聞く
- それから、壊すかどうかを決める
壊すのは最後に決めます。壊してしまうと戻せず、土地の税も上がります。
解体を頼む前に確かめること
解体の費用は、建物の構造・広さ・前の道の広さ・重機が入れるかで変わります。金額は現地を見ないと出ません。見積もりで分かれ目になるところをまとめました。
| 項目 | 確かめること |
|---|---|
| 本体の解体 | 構造(木造・鉄骨・鉄筋)と延べ床面積 |
| 廃材の処分 | 何をどこへ運ぶか。マニフェストが出るか |
| 石綿(アスベスト)の調査 | 着工前の事前調査が済んでいるか |
| 付帯の工事 | 塀・物置・庭木・浄化槽・井戸を含むか |
| 近隣への対応 | あいさつ・養生・作業時間 |
| 届出 | 建設リサイクル法の届出を誰が出すか |
石綿の事前調査は法律で決まっている
大気汚染防止法で、建物を解体・改修する前に石綿が使われているかの事前調査をすることが決められています。調査の結果は記録し、一定の規模では報告も要ります。「調査はしていません」という業者には頼まないのが確実です。
更地にすると税が上がる
建物を壊すと住宅用地の特例が外れるため、土地の固定資産税は上がります。売る見通しが立ってから壊すほうが、持ち出しは少なくて済みます。
相続した家を売るときの3,000万円の特別控除
相続した家を売って利益が出た場合、条件に当てはまれば譲渡所得から最大3,000万円を差し引ける特例があります(租税特別措置法35条3項。「被相続人の居住用財産を売ったときの特例」)。
| 主な条件 | 中身 |
|---|---|
| 建てた時期 | 昭和56年5月31日以前に建築されたこと |
| 建物の種類 | マンションなどの区分所有建物でないこと |
| 住んでいた人 | 相続の開始直前に被相続人が一人で住んでいたこと |
| 売り方 | 耐震基準に適合させて売るか、取り壊して売ること |
| 期限 | 相続の開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで |
| 手続き | 市区町村の被相続人居住用家屋等確認書をそえて確定申告をすること |
当てはまるかは必ず確かめる
条件は細かく、老人ホームに入っていた場合の扱いなど例外もあります。売る前に、税務署か税理士に自分の場合を確かめてください。ここに書いたのは条文の骨組みだけです。
相続した家の名義変更は義務になっている
2024年4月1日から、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請することが義務になりました。正当な理由がないのに申請しないと、10万円以下の過料の対象になります。
この義務は2024年4月1日より前に相続した不動産にもかかります。その場合は、2027年3月31日までが期限です。
| 場面 | すること |
|---|---|
| 遺産分割が済んでいる | 相続登記を申請する |
| 遺産分割がまとまらない | 相続人申告登記をして、まとまったら3年以内に登記する |
| 相続人が多くて連絡がつかない | 司法書士に相談して、戸籍をたどる |
| そもそも相続するか迷う | 相続放棄の期限(3か月)を先に確かめる |
名義が古いままだと売れない
登記の名義が祖父母のままだと、そのままでは売ることも貸すこともできません。相続人が増えるほど話がまとまらなくなるので、早いほど手間が少なくて済みます。
空き家バンクとは
空き家バンクは、自治体が運営する空き家の情報の窓口です。売りたい・貸したい人が登録し、住みたい人が探します。民間の不動産サイトと違い、その自治体の移住や定住の支援制度と結びついているのが特徴です。
このサイトには、空き家バンクのページを持つ842自治体(47都道府県)を載せています。物件の数や価格は持っていないため、掲載していません。各自治体のページで確かめてください。
| 立場 | 流れ |
|---|---|
| 出す側 | 自治体に登録を申し込む → 現地確認 → 掲載 → 問い合わせを受ける |
| 探す側 | 利用登録をする → 気になる物件を問い合わせる → 現地を見る → 契約 |
| 仲介 | 自治体が直接仲介する場合と、提携の不動産会社が入る場合がある |
| 支援 | 改修費の補助、引っ越し費用の補助、家財の片づけの補助など |
自治体ごとに決まりが違う
登録できる建物の条件、手数料、支援の中身は自治体ごとに別々です。近い市町村でも内容が変わるので、必ずそのページで確かめてください。
空き家のある都道府県から空き家バンクを探す
空き家バンクは空き家がある市区町村が運営しています。ページを公開している842の自治体を、都道府県ごとに並べています。
北海道
| 都道府県 | 自治体 | うち市 | うち町村 | 主な市 |
|---|---|---|---|---|
| 北海道 | 35 | 7 | 28 | 札幌市・旭川市・函館市 |
東北
| 都道府県 | 自治体 | うち市 | うち町村 | 主な市 |
|---|---|---|---|---|
| 青森県 | 29 | 10 | 19 | 青森市・八戸市・弘前市 |
| 岩手県 | 22 | 11 | 11 | 盛岡市・一関市・奥州市 |
| 宮城県 | 16 | 7 | 9 | 仙台市・石巻市・大崎市 |
| 秋田県 | 18 | 11 | 7 | 秋田市・横手市・大仙市 |
| 山形県 | 18 | 6 | 12 | 山形市・鶴岡市・酒田市 |
| 福島県 | 37 | 12 | 25 | いわき市・郡山市・福島市 |
関東
| 都道府県 | 自治体 | うち市 | うち町村 | 主な市 |
|---|---|---|---|---|
| 茨城県 | 32 | 27 | 5 | 水戸市・つくば市・日立市 |
| 栃木県 | 23 | 13 | 10 | 宇都宮市・小山市・足利市 |
| 群馬県 | 17 | 9 | 8 | 高崎市・前橋市・太田市 |
| 埼玉県 | 40 | 27 | 13 | さいたま市・川口市・川越市 |
| 千葉県 | 36 | 22 | 14 | 千葉市・船橋市・松戸市 |
| 東京都 | 6 | 5 | 1 | 特別区(23区)・八王子市・町田市 |
| 神奈川県 | 20 | 14 | 6 | 横浜市・川崎市・相模原市 |
中部
| 都道府県 | 自治体 | うち市 | うち町村 | 主な市 |
|---|---|---|---|---|
| 新潟県 | 22 | 18 | 4 | 新潟市・長岡市・上越市 |
| 富山県 | 14 | 10 | 4 | 富山市・高岡市 |
| 石川県 | 6 | 5 | 1 | 金沢市・白山市・小松市 |
| 福井県 | 16 | 8 | 8 | 福井市・坂井市 |
| 山梨県 | 14 | 11 | 3 | 甲府市・甲斐市 |
| 長野県 | 12 | 5 | 7 | 長野市・松本市・上田市 |
| 岐阜県 | 26 | 13 | 13 | 岐阜市・大垣市・各務原市 |
| 静岡県 | 16 | 9 | 7 | 静岡市・浜松市・富士市 |
| 愛知県 | 11 | 9 | 2 | 名古屋市・豊田市・岡崎市 |
近畿
| 都道府県 | 自治体 | うち市 | うち町村 | 主な市 |
|---|---|---|---|---|
| 三重県 | 14 | 8 | 6 | 四日市市・津市・鈴鹿市 |
| 滋賀県 | 16 | 11 | 5 | 大津市・草津市・彦根市 |
| 京都府 | 12 | 8 | 4 | 京都市・宇治市・長岡京市 |
| 大阪府 | 16 | 14 | 2 | 大阪市・堺市・東大阪市 |
| 兵庫県 | 33 | 23 | 10 | 神戸市・姫路市・西宮市 |
| 奈良県 | 18 | 8 | 10 | 奈良市・橿原市・生駒市 |
| 和歌山県 | 14 | 7 | 7 | 和歌山市・田辺市 |
中国
| 都道府県 | 自治体 | うち市 | うち町村 | 主な市 |
|---|---|---|---|---|
| 鳥取県 | 10 | 4 | 6 | 鳥取市・米子市 |
| 島根県 | 7 | 2 | 5 | 松江市・出雲市 |
| 岡山県 | 17 | 8 | 9 | 岡山市・倉敷市・津山市 |
| 広島県 | 9 | 6 | 3 | 広島市・福山市・呉市 |
| 山口県 | 11 | 9 | 2 | 下関市・山口市・周南市 |
四国
| 都道府県 | 自治体 | うち市 | うち町村 | 主な市 |
|---|---|---|---|---|
| 徳島県 | 11 | 5 | 6 | 徳島市・阿南市 |
| 香川県 | 6 | 1 | 5 | 高松市・丸亀市 |
| 愛媛県 | 14 | 11 | 3 | 松山市・今治市・新居浜市 |
| 高知県 | 12 | 6 | 6 | 高知市・南国市 |
九州・沖縄
| 都道府県 | 自治体 | うち市 | うち町村 | 主な市 |
|---|---|---|---|---|
| 福岡県 | 23 | 14 | 9 | 福岡市・北九州市・久留米市 |
| 佐賀県 | 16 | 10 | 6 | 佐賀市・唐津市 |
| 長崎県 | 16 | 10 | 6 | 長崎市・佐世保市 |
| 熊本県 | 15 | 8 | 7 | 熊本市・八代市 |
| 大分県 | 15 | 12 | 3 | 大分市・別府市 |
| 宮崎県 | 17 | 7 | 10 | 宮崎市・都城市 |
| 鹿児島県 | 30 | 17 | 13 | 鹿児島市・霧島市 |
| 沖縄県 | 4 | 3 | 1 | 那覇市・沖縄市・うるま市 |
言葉の意味
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| 特定空家等 | 倒壊のおそれや衛生上の問題があると市区町村が認めた空き家 |
| 管理不全空家等 | そのままにすると特定空家等になるおそれがある空き家 |
| 住宅用地の特例 | 住宅が建つ土地の固定資産税を軽くする仕組み。勧告を受けると外れる |
| 行政代執行 | 命令に従わないとき、市区町村が代わりに行い費用を請求する手続き |
| 相続登記 | 相続した不動産の名義を変える登記。2024年4月1日から申請が義務 |
| 相続人申告登記 | 遺産分割がまとまらないときに、相続人であることを申し出る登記 |
| 空き家バンク | 自治体が運営する空き家の情報の窓口 |
| 建設リサイクル法 | 一定規模以上の解体で分別と再資源化を求める法律。届出が要る |
あわせて読む
- 相続した空き家を売る流れ|名義変更から引き渡しまでの順番
- 空き家を売るときの媒介契約|一般・専任・専属専任の違いと選び方
- 800万円以下の空き家の仲介手数料|2024年7月からの特例
- 空き家を「現状のまま」売るとき|契約不適合責任と特約の決め方
- 再建築不可の空き家とは|接道義務の確かめ方と、売る・使うときの選択肢
- 空き家をどうするか|税金・名義・選べる道をまとめて整理
- 住所変更登記の義務化|空き家の名義人が引っ越したら2年以内
次にすること
都道府県から、空き家バンクのある自治体の一覧に進めます。各自治体のページを直接開けるので、登録の条件と支援制度を確かめてください。
物件の数・価格・自治体の評価はこのサイトでは持っていません。条件は必ず自治体のページで確かめてください。
この記事のデータについて
掲載している自治体の数は、空き家バンクのページを公開している自治体を数えたものです。物件の数や価格、自治体の評価は持っていないため、掲載していません。税と手続きの内容は、空家等対策の推進に関する特別措置法、地方税法、不動産登記法、租税特別措置法、民法、大気汚染防止法にもとづいています。実際の取り扱いは自治体で異なることがあるため、窓口でご確認ください。