相続した空き家の土地を国に引き取ってもらう|相続土地国庫帰属制度の条件

掲載データの確認日 2026/10/28

47都道府県を同じ条件でそろえています

売れない、使い道もない土地を国に引き取ってもらう相続土地国庫帰属制度が2023年4月27日に始まりました。ただし建物がある土地は申請できないので、空き家はそのままでは使えません。条件と順番を整理しました。

制度の基本

項目 中身
根拠 相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律
申請できる人 相続や遺贈(相続人への遺贈)で土地を取得した人
申請先 土地の所在地を管轄する法務局
審査手数料 土地1筆あたり14,000円(申請時)
負担金 承認されたあとに納める。10年分の標準的な管理費用を考えて決まる額

申請できない土地(却下)

法務省の資料では、次の土地は申請そのものができないとされています。

  • 建物がある土地
  • 担保権や使用・収益を目的とする権利が設定されている土地
  • 通路など他人の使用が予定されている土地
  • 土壌汚染がある土地
  • 境界が明らかでない土地・所有権に争いがある土地

承認されない土地(不承認)

審査の結果、管理や処分に過分の費用・労力がかかる土地は承認されません。

  • 一定の勾配・高さのがけがあり、管理に過分の費用がかかる土地
  • 管理を妨げる工作物・車両・樹木などがある土地
  • 地下に除去が必要な物がある土地
  • 隣の土地の所有者と争いがある土地

空き家の土地で申請するまで

  1. 境界を確かめる(隣地との境界がはっきりしているか)
  2. 建物を解体する(費用は自分持ち)
  3. 建物滅失登記をする
  4. 樹木・ブロック塀・残置物を片付ける
  5. 法務局に事前相談する
  6. 申請・審査手数料の納付
  7. 承認されたら負担金を納める

解体と片付けの費用、負担金を合わせても手放したいかを先に計算します。

ほかの手放し方と比べる

方法 建物 費用の出どころ 向いている場面
売る 残したままでも可 売却代金が入る 買い手がいる
空き家バンク 残したままでも可 — 地方で使い手を探す
寄付(自治体・近隣) 相手による 相手が受けるかどうか 隣地の人が欲しがっている
国庫帰属 解体が必要 解体費+手数料+負担金 売れず、もらい手もいない
相続放棄 — 全財産を放棄 相続前で、ほかに財産がない

確認表

確かめること 済
自分が相続・遺贈で取得した土地か □
建物を解体する費用の見積もり □
境界が明らかか □
担保権などが付いていないか □
法務局に事前相談した □

よくある質問

負担金はいくらですか

土地の種類や面積で変わります。法務省が負担金の計算シートを公開しているので、それで確かめてください。

共有の土地も申請できますか

共有者全員で申請します。

解体を頼む前に確かめること

解体の費用は、建物の構造・広さ・前の道の広さ・重機が入れるかで変わります。金額は現地を見ないと出ません。見積もりで分かれ目になるところをまとめました。

項目 確かめること
本体の解体 構造(木造・鉄骨・鉄筋)と延べ床面積
廃材の処分 何をどこへ運ぶか。マニフェストが出るか
石綿(アスベスト)の調査 着工前の事前調査が済んでいるか
付帯の工事 塀・物置・庭木・浄化槽・井戸を含むか
近隣への対応 あいさつ・養生・作業時間
届出 建設リサイクル法の届出を誰が出すか

石綿の事前調査は法律で決まっている

大気汚染防止法で、建物を解体・改修する前に石綿が使われているかの事前調査をすることが決められています。調査の結果は記録し、一定の規模では報告も要ります。「調査はしていません」という業者には頼まないのが確実です。

更地にすると税が上がる

建物を壊すと住宅用地の特例が外れるため、土地の固定資産税は上がります。売る見通しが立ってから壊すほうが、持ち出しは少なくて済みます。

売る・貸す・使う・壊す

道 向いている場合 先に確かめること
売る 使う予定がなく、持ち続ける負担が重い 名義・境界・相続人の同意
貸す 建物が使え、管理を任せられる 修繕の費用と貸主の責任
自分で使う 移住や二拠点を考えている 改修の費用と支援制度
壊して土地を売る 建物が傷んでいて使えない 解体費と、更地にしたあとの税
自治体に相談する どれも決められない 空き家バンクと相談窓口

決められないときの順番

  1. 名義を確かめる(相続登記が済んでいるか)
  2. 相続人の間で方針をそろえる
  3. 建物が使える状態か見てもらう
  4. 売る・貸すの見通しを不動産会社に聞く
  5. それから、壊すかどうかを決める

壊すのは最後に決めます。壊してしまうと戻せず、土地の税も上がります。

相続した家の名義変更は義務になっている

2024年4月1日から、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請することが義務になりました。正当な理由がないのに申請しないと、10万円以下の過料の対象になります。

この義務は2024年4月1日より前に相続した不動産にもかかります。その場合は、2027年3月31日までが期限です。

場面 すること
遺産分割が済んでいる 相続登記を申請する
遺産分割がまとまらない 相続人申告登記をして、まとまったら3年以内に登記する
相続人が多くて連絡がつかない 司法書士に相談して、戸籍をたどる
そもそも相続するか迷う 相続放棄の期限(3か月)を先に確かめる

名義が古いままだと売れない

登記の名義が祖父母のままだと、そのままでは売ることも貸すこともできません。相続人が増えるほど話がまとまらなくなるので、早いほど手間が少なくて済みます。

あとでもめやすいところ

もめる元 先にしておくこと
相続人が多い 早めに全員の連絡先をそろえる
誰が管理するか 見に行く人と、費用の出し方を決める
売る値段 複数の不動産会社に査定を頼む
家財の処分 形見分けの希望を先に聞く
境界がはっきりしない 売る前に測量と立ち会いをする

記録を残す

話し合いの結果、かかった費用、直したところ。書いて残しておくと、あとから聞かれたときに答えられます。

進む順番

  1. 登記を取って、名義と相続人を確かめる
  2. 相続登記が済んでいなければ申請する(3年の期限あり)
  3. 建物の状態を見て、使えるかどうかを判断する
  4. 火災保険と水道・電気の扱いを決める
  5. 売る・貸す・使う・壊すの方針を相続人でそろえる
  6. 空き家バンクと自治体の支援制度を確かめる
  7. 不動産会社や解体業者に、同じ条件で見積もりを頼む
  8. 税の特例に当てはまるかを税務署か税理士に確かめる
  9. 契約して、登記と税の手続きを済ませる

空き家のある都道府県から空き家バンクを探す

空き家バンクは空き家がある市区町村が運営しています。ページを公開している842の自治体を、都道府県ごとに並べています。

北海道

都道府県 自治体 うち市 うち町村 主な市
北海道 35 7 28 札幌市・旭川市・函館市

東北

都道府県 自治体 うち市 うち町村 主な市
青森県 29 10 19 青森市・八戸市・弘前市
岩手県 22 11 11 盛岡市・一関市・奥州市
宮城県 16 7 9 仙台市・石巻市・大崎市
秋田県 18 11 7 秋田市・横手市・大仙市
山形県 18 6 12 山形市・鶴岡市・酒田市
福島県 37 12 25 いわき市・郡山市・福島市

関東

都道府県 自治体 うち市 うち町村 主な市
茨城県 32 27 5 水戸市・つくば市・日立市
栃木県 23 13 10 宇都宮市・小山市・足利市
群馬県 17 9 8 高崎市・前橋市・太田市
埼玉県 40 27 13 さいたま市・川口市・川越市
千葉県 36 22 14 千葉市・船橋市・松戸市
東京都 6 5 1 特別区(23区)・八王子市・町田市
神奈川県 20 14 6 横浜市・川崎市・相模原市

中部

都道府県 自治体 うち市 うち町村 主な市
新潟県 22 18 4 新潟市・長岡市・上越市
富山県 14 10 4 富山市・高岡市
石川県 6 5 1 金沢市・白山市・小松市
福井県 16 8 8 福井市・坂井市
山梨県 14 11 3 甲府市・甲斐市
長野県 12 5 7 長野市・松本市・上田市
岐阜県 26 13 13 岐阜市・大垣市・各務原市
静岡県 16 9 7 静岡市・浜松市・富士市
愛知県 11 9 2 名古屋市・豊田市・岡崎市

近畿

都道府県 自治体 うち市 うち町村 主な市
三重県 14 8 6 四日市市・津市・鈴鹿市
滋賀県 16 11 5 大津市・草津市・彦根市
京都府 12 8 4 京都市・宇治市・長岡京市
大阪府 16 14 2 大阪市・堺市・東大阪市
兵庫県 33 23 10 神戸市・姫路市・西宮市
奈良県 18 8 10 奈良市・橿原市・生駒市
和歌山県 14 7 7 和歌山市・田辺市

中国

都道府県 自治体 うち市 うち町村 主な市
鳥取県 10 4 6 鳥取市・米子市
島根県 7 2 5 松江市・出雲市
岡山県 17 8 9 岡山市・倉敷市・津山市
広島県 9 6 3 広島市・福山市・呉市
山口県 11 9 2 下関市・山口市・周南市

四国

都道府県 自治体 うち市 うち町村 主な市
徳島県 11 5 6 徳島市・阿南市
香川県 6 1 5 高松市・丸亀市
愛媛県 14 11 3 松山市・今治市・新居浜市
高知県 12 6 6 高知市・南国市

九州・沖縄

都道府県 自治体 うち市 うち町村 主な市
福岡県 23 14 9 福岡市・北九州市・久留米市
佐賀県 16 10 6 佐賀市・唐津市
長崎県 16 10 6 長崎市・佐世保市
熊本県 15 8 7 熊本市・八代市
大分県 15 12 3 大分市・別府市
宮崎県 17 7 10 宮崎市・都城市
鹿児島県 30 17 13 鹿児島市・霧島市
沖縄県 4 3 1 那覇市・沖縄市・うるま市

言葉の意味

言葉 意味
特定空家等 倒壊のおそれや衛生上の問題があると市区町村が認めた空き家
管理不全空家等 そのままにすると特定空家等になるおそれがある空き家
住宅用地の特例 住宅が建つ土地の固定資産税を軽くする仕組み。勧告を受けると外れる
行政代執行 命令に従わないとき、市区町村が代わりに行い費用を請求する手続き
相続登記 相続した不動産の名義を変える登記。2024年4月1日から申請が義務
相続人申告登記 遺産分割がまとまらないときに、相続人であることを申し出る登記
空き家バンク 自治体が運営する空き家の情報の窓口
建設リサイクル法 一定規模以上の解体で分別と再資源化を求める法律。届出が要る

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次にすること

都道府県から、空き家バンクのある自治体の一覧に進めます。各自治体のページを直接開けるので、登録の条件と支援制度を確かめてください。

物件の数・価格・自治体の評価はこのサイトでは持っていません。条件は必ず自治体のページで確かめてください。

この記事のデータについて

掲載している自治体の数は、空き家バンクのページを公開している自治体を数えたものです。物件の数や価格、自治体の評価は持っていないため、掲載していません。税と手続きの内容は、空家等対策の推進に関する特別措置法、地方税法、不動産登記法、租税特別措置法、民法、大気汚染防止法にもとづいています。実際の取り扱いは自治体で異なることがあるため、窓口でご確認ください。